平成29年11月12日(日)から平成29年11月18日(土)の5泊7日で、大阪府地域福祉推進財団主催の「”エイジレス社会”海外福祉事情・調査研修」に、ハートケアグループ職員3名が参加しました。
<海外研修参加日程>
・11月13日(月)ポッペルボナーシングセンター視察(デンマーク)
・11月14日(火)ヴィダゴー アクティビティーハウス視察(デンマーク)
・11月15日(水)ファーゲルトゥンシュケイエム視察(ノルウェー)
・11月16日(木)サーゲネシニアセンター視察(ノルウェー)/オーカンホーム視察(ノルウェー)
*11月13日(月)
 ポッペルボ ナーシングセンター(デンマーク コペンハーゲン)

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〔施設概要〕
87名入居 従業員数255名 住居施設・アクティビティーセンター・レストラン併設
〔運営概要〕
毎月第1水曜日に入居者会議を開催し、個人の意向を尊重したサービス提供を行っている。また、食事の委員会を入居者主体にて開催し、2週間毎のメニューを決定している。1日の入居者のスケジュールについては、朝食から始まり、午前中はトレーニング、もしくはリビングにて過ごし、昼食後については、入居者同士での団欒やコーヒータイムがあり、夕食後もコーヒータイム。
〔感想〕
当社との大きな違いは、食事委員会を入居者中心で設けて、2週間毎に献立を決めているところや、夕食後のコーヒータイム等です。さすが、コーヒー消費量が世界でも上位にあるだけに、普段の生活からコーヒータイムでの団欒が、生活の一部になっている様子が伺えます。
そして、寒いお国柄かもしれませんが、地下通路が5キロも続いており、ナーシングセンターだけでなく、他の集合住宅ともつながっているとのことでびっくりしました。また、地下には、ナーシングホーム独自の取り組みとして、買い物体験できる部屋やミニシアタールームを設置し、高齢に伴う病気等になった場合でも、いつでも、色々な楽しめる設備が整っており、生活の質が保たれる環境でサービス提供をされていました。
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またデンマークでは、普段の生活から自転車がよく使われており(平地が多い・自転車専用道路がある)、この施設にも高齢者専用の自転車が設置され、施設職員やご家族と一緒に外出できるようにされているなど、その国の生活様式にあった活動を取り入れることが、とても大事であると学びました。
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*11月14日
 ヴィダゴー アクティビティーハウス視察(デンマーク)

〔施設概要〕
アクティビティーハウス・高齢者住宅(45戸)・ファミリー住宅(10戸)・地域活動センター・サービスセンター・デイセンターなど
〔運営概要〕
雇用されたスタッフは1名のみで、施設の管理のみを実施。他はすべてボランティアにて運用。60種類の活動を1,200名以上の登録者が行うあり1年に2回アクティビティーの説明会を実施している。2015年から無料で利用可能。
〔感想〕
日本でいう老人福祉センター的な扱いの施設でしたが、ボランティアの活躍が素晴らしく、今回の施設見学についても、ボランティア代表の方が施設案内をされました。ボランティアの方も、お世話をするというよりも、サークルリーダー的な存在で一緒に楽しむといったスタンスにて実行されているため、継続性があり、かつ活発にできていると感じました。
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また、副市長直々の「活発で良い高齢者の生活」との訪問メッセージもあり、この施設がいかに高齢者政策にとって大事であるかを教えていただきました。そして、市が施設利用料を無料に設定した背景についても、健康であることが、結果として、市の財政を軽くすることに繋がるとのことで、市民にとっても行政にとってもいい取り組みであると感じました。そして、デンマーク人のDNAにはボランティア活動が根付いているという点で、文化の違いがある事を考慮しつつ日本においての展開の仕方を考えていくことが大事だと感じました。
*11月15日  
 ファーゲルトゥンシュケイエム(ノルウェー)

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デンマークからノルウェーに移動した初日の施設見学です。初日は雪も積もっており、山の中にあるお洒落な施設が雪景色と重なり更にとてもお洒落でした。
ここの施設の施設長は看護師と設計士の資格を持っておられ、内装もお洒落にされていました。
この施設は長期居住者約20名と日本でいう特養の高齢者が約10名居住しており、利用者の事を住民と呼ばれています。看護師が常駐している他、看護学生や多国籍の移民や難民などの方の語学教育の場や就労支援の場としても活用されています。その為、住民の方1人当たりに対して1.12人が関わることができる体制が取れており、職員の負担軽減にも繋がっているようです。多国籍の従業員が多いので様々な国の料理や文化をアクティビティに取入れることができるメリットもあるようです。
住民の多くが認知症の方だそうですが、薬で治療をするのではなく、環境設定に重きをおき、一日一日意義のある日を提供するようにされていました。アクティビティも多く取り入れ、日中に居眠りしている住民も少ないようです。
この施設は住民の方がその人らしく生活していくことを実現していることは勿論ですが、従業員の教育の場、職員が働きやすい環境整備も並行して行っている施設だと感じました。
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*11月16日午前
 オーカンホーム(ノルウェー)

この施設は高齢者住宅と認知症のデイケアセンターが併設している施設です。
この施設はカフェテリアを設け、出会いの場として活用されており、一年中開放されています。価格も1000円前後と安く(日本では高いですが、ノルウェーでは格安)利用される方も多いそうです。また、カフェテリアに来られない方には、ボランティアの方が配食するというサービスもされています。
この施設もアクティビティ活動を熱心にされており、一年間のプログラムが既に決まっているようです。”ITクラブ”や”難聴のグループ”、男性だけのグループなどあり”男の料理教室”などもされているようです。日本でも、”男の料理教室”を実施されている地域活動など見られますが、ノルウェーの方が盛んな印象です。
入居者の部屋を拝見させて頂きましたが、入居者が今まで住んでいた部屋に限りなく近い状態を保っておられました。入居された方の好きな家具や今まで使用されていたものを持ち込まれたりし、環境に混乱しないような工夫をされていました。
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*午後
 サーゲネシニアセンター(ノルウェー)

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1963年に設立されたデイセンターです。認知症の方が多く利用されています。
到着後、利用者と一緒に食事をしました。通訳の方がいないので言葉では中々伝わらなかったのですが、身振り手振りで話をしながら、一緒に美味しく食事を頂きました。皆さんおかわりされており、食欲がすごかったです。
オスロ市では認知症の方への支援プロジェクトが実施されており、2013年以降こういった施設が増加しているようです。また、オランダの認知症の考え方を参考にされており、
いい環境・元気なところに焦点をあてる・人生の喜び・自分の考え、自分の人生の価値に基づいての行動・個性を大切にする・自己決定を尊重するという理念を職員、ボランティアの方に見てもらうようにしているそうです。
日本と同じような考えですが、ボランティアの方も理解され実施されていると感じました。この施設でもアクティビティ活動を大切にされていました。
デンマーク・ノルウェー観光地
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